皆さん、スカパーと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。おそらくほぼ全員『あーあの有料放送のスカパー!ね』と思うかと思います。私もそうです。少し前はスカイパーフェクTVという名前でした。
それも間違いではないです。しかし、スカパーにはもう一つの顔があるのです。むしろそちらがメインと言っても差支えはないのではないでしょうか。今回はそんなスカパーJSATについて紹介していきたいと思います。
スカパーJSAT(スカパーJSATホールディングス)について
スカパーJSATホールディングス(9412.T)は、日本の通信・メディア関連企業で、主に有料衛星放送事業(スカパー!)と人工衛星事業を展開しています。そう、もう一つの顔とは人工衛星事業です!
1. 事業内容
スカパーJSATは、大きく分けて2つの事業を展開しています。
① 有料放送事業(メディア事業)
- 有料放送「スカパー!」を運営し、CS・BS・IPTVなど多様な形で有料チャンネルを提供。スポーツや専門チャンネル(音楽・映画・アニメ)などは根強いファンが多い。
- 「スカパー!オンデマンド」を運営し、ネット配信も展開
- 動画配信サービス(Netflix、DAZNなど)との提携
かつては日本の有料放送においてトップにいましたが、NetflixやAmazonプライムの台頭で契約者数が減少傾向。2024年3月時点で約224万件の契約(ピーク時より減少傾向)。
② 衛星通信事業(宇宙事業)
- アジア最大級の人工衛星オペレーターであり、16基の通信衛星を運用。
- 政府や防衛省向けの通信インフラ提供を行い、宇宙関連ビジネスの拡大を進めている。
- 近年、宇宙事業の成長に注力し、防衛関連の案件(軍事通信)も増加傾向。
スカパーJSATは、アジア最大級の商業通信衛星の運用会社であり、人工衛星を利用した通信・放送サービスを提供しています。また16機の通信衛星を保有し、それにより宇宙ビジネスを展開しています。
主な事業内容
- 衛星通信サービス
- 政府・防衛向け:防衛省や内閣府向けの安全保障関連通信を請け負っている。
- 企業向け:海上や遠隔地での通信ソリューション(航空・海運業界向け)、飛行機内でWi-Fiが利用できるのもスカパーの衛星通信によるもの。
- モバイルバックホール:通信衛星を通じて通信キャリア向けに災害時や山間部の通信インフラ提供している。
- 衛星打ち上げ・運用
- 「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」と連携し、月面探査通信など将来の宇宙インフラ事業の技術開発
- 近年増加している宇宙デブリ除去事業への取り組み
- データセンターサービス
- 東京都内(多摩地域)に自社のデータセンターを保有・運営しており近年、宇宙データとクラウドコンピューティングを活用した事業を拡大中
また、宇宙事業だけでなく、ワールドワイドに通信ビジネスを展開しています。
📡 具体的な海外通信ビジネスの内容
① 海外の航空機・船舶向け衛星通信
- 海外の航空会社・海運業向けに、インターネット通信を提供
- パートナー企業と共同で、機内Wi-Fiや洋上Wi-Fiを展開(例:Panasonic Avionicsなど)
② 海外プラント・採掘現場への安定通信
- 中東・アフリカの石油プラントなど、地上インフラが整備されていないエリアに通信を提供
- エネルギー関連企業と連携し、監視・制御・遠隔支援の通信基盤を提供
2. 業績のポイント
項目 | 内容 |
---|---|
売上高 | 約1210億円(2024年度) |
営業利益 | 約265億円 |
メディア事業の割合 | 約30%(減少傾向) |
宇宙事業の割合 | 約70%(増加傾向) |
配当利回り | 約2.5%(比較的高配当) |
PER | 約16倍(適正) |
PBR | 約1.15倍 |
💡 最近はメディア事業が縮小する一方、宇宙事業の成長に期待が集まっている。
3. 株価の推移(2024〜2025年)
- 株価は1,100〜1,200円のレンジで推移。
- 2024年に一時900円台まで下がったが、宇宙事業の成長期待で持ち直し。
- 配当が安定しており、長期投資向きの銘柄。

4. スカパーJSATの強み
✅ 日本唯一の民間衛星オペレーターで有料放送、動画サービスの一定の収益がある
✅ 政府・防衛関連の安定した契約がある(防衛関連銘柄としても注目)
✅ 通信衛星を用いた海外や宇宙事業の拡大が期待される
5. 今後の成長ポイント
📡 宇宙事業の拡大
- 5G通信・データ通信需要の拡大で通信衛星ビジネスの成長が期待される。
- 軍事・防衛向け通信の需要増(政府案件が増える可能性あり)。
- 宇宙関連の新規事業(低軌道衛星や宇宙データ分析など)にも参入。
💡 メディア事業は縮小傾向だが、宇宙事業や海外事業の成長次第で化ける可能性あり。
今後の成長戦略
- 宇宙ビジネスの拡大
- 小型衛星や低軌道衛星の活用
- スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去技術の開発
- 5G・6Gとの融合
- 通信キャリアと連携し、宇宙を活用したネットワークインフラの構築
- メディア事業の変革
- 動画配信とのシナジーを強化し、収益基盤の多角化
6. まとめ
評価項目 | 内容 |
---|---|
成長性 | 通信衛星を用いた宇宙事業、海外展開に期待。 |
安定性 | 防衛・政府向け案件が多く、一定の安定感あり。 |
配当利回り | 約2.5%と安定している。 |
株価の割安度 | PER約16倍と適正価格。 |
リスク | スカパー契約者の減少、しかしある程度見込み済 |
今後、宇宙事業の成長が鍵ですね。防衛関連の需要が増えれば株価の上昇余地もまだまだありそうです。
スカパーJSATは、単なる放送・通信会社にとどまらず、「宇宙×データ×クラウド」という次世代インフラ企業を目指しており、これからの成長を期待させる企業でもあります。一応宇宙関連で保有している銘柄は以上です。他にも気になる銘柄があれば紹介していきたいと思います。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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